生き延びるためのコロナ講座 その2 経済篇

鬼の居ぬ間(ま)に、と日本語では言う。

ビンボなのでワクチンに頼らず、いきなりめっちゃ厳しいロックダウンで、経済なんてプライオリティは国民の生命よりずっと下でんがな、それどころやおまへんのや(←こういうことだから、いつも国がビンボなんですね)でウイルス根絶で始まったニュージーランドのCOVID対策は、人口が少ないからか、国民性がのんびりな割にビンボドマジメだからか、はたまた昔はスタートレック世界で、あまりに遠隔なので脱出不可能な地球連邦刑務所に擬せられていた世界の果てに位置するからか、オークランドの南の町カラカには世界でいちばんhauntedで、呪怨な、精神病院の廃墟があるからか、20208月にニュージーランド政府が公式に、首相のジャシンダはんの満面の笑みとともに、「ついに我々はコロナの根絶に成功した」と宣言してから、まるまる一年経つ。

https://www.bbc.com/news/world-asia-52961539

初めは「ワクチンなんて、要らないんじゃない?」と考えていたようで、みんなでコロナ·フリー社会をやっているうちに、なあに、他の国だって根絶しますよ、と政府は言いはしないまでも考えていたようだったが、あてが外れて、国の外ではブンブン感染者が増えていって、挙げ句の果ては、「ワクチン接種すれば死なないんだから、それでいいじゃん」な、チョー荒っぽい政策に出る国が続出して、已むを得ないので、ニュージーランドもワクチンを、ビンボな財布を開いて、しぶしぶ買うことになった。

もっか、確か、ワクチン接種率は世界で150番目か、そんなところだと思います。

泥縄もいいところなので、押っ取り刀で起ち上がった政府は、「まだ順番来ないじゃん、やる気あるの?」と野党に言われながら、あたふたワクチンのrolloutを急いでいるが、市中感染根絶→ワクチン接種で予防、という順番自体は正しいので、国民のほうも、「なるべく早くしてね」という程度で、いまのところはすんでいる。

ニューノーマルと日本でも言っているようだが、ニュージーランドは、コロナ以前の生活にほぼ戻って、最も意外におもわれた事には、経済が破滅しなかった。

ニュージーランドでは一大産業だった留学生は当然ながら激減したが、例えばカンタベリー大学では、留学生が減った分は、な、な、なんと、勉強嫌いで有名な国民性が変化する前兆にやあらむ、国内の大学進学希望者で、あっというまに埋まってしまった。

三大産業のひとつだった観光業は、もちろん、頼みの海外観光客がゼロになったので、ひいこら言っているが、IT時代のおかげで、例えば観光プランをオーガナイズするオペレータの仕事は、スーパーマーケットチェーンの在庫管理と、オンラインで行う作業がそっくりで、スキルがそのまま使えるので、人手不足に陥っていた流通や小売りに、会社間の話し合いで大量にシフトして、国内観光で、なんとか生きていける程度にはコストダウンしたようです。

おもいもかけず、我とも知らず、社会のIT化が産業と社会の柔軟性を生むことを実地に実行してしまった。

ちいさくなっちゃったけどね、会社。

山椒は小粒でもピリリと辛い、と時代劇で述べていたが、辛いかしら、サンショ。

花椒はめっちゃ辛いですけど。

カフェやレストランは、コロナ禍以前よりも客が増えて、おおげさに言えば平日でも、ごった返している。

興味深いのは、長い間続いて、「老舗」と言われるような店で、実質は伴っているとは、やや言い難くて、メニューや味が「古い」レストランは、よく目を凝らして見ると、どんどん潰れていて、その跡に、コンテンポラリー·インディアンであるとか、日本料理とコロンビア料理のフュージョンで有名なレストランの支店、新趣向の店が流行って、ハンバーガーでも、アメリカ人がいつも面食らう、ビートルートや目玉焼きが挟まっているニュージーランドの伝統的なハンバーガーは、やや下火で、自家製のbunやパテの工夫が売り物の新しい世代の店が賑わっている。

Satyaというニュージーランドでは古顔で、いまでも人気があるインド料理屋を、息子たちがついで、Satya & Satya Chai loungeというコンテンポラリー·インディアンの店を開いて、大人気を博していたりするのが例です。

https://www.satya.co.nz/satya-chai-lounge

 

コンテンポラリーインディアンのブーム自体は、かれこれ数えて、ロンドンから十年遅く起こったことになるが、遅れたぶんだけ、質はよくて、到頭、オークランドも都会になるのかしら、と思わせるだけのことはあった。

なぜ、こんなことを書いているかというと、こんな「コロナが終わって案外経済好調なんですぜ、旦那」というような記事を書くと、いままで通りの恒例でニッポン名物ゲスゲスおやじたちがやってきて、「けっ、たまたまコロナ対策がうまくいったからって、自慢すんじゃねーよ。日本はおおきな国だから、おまえのとこみたいに小さい国とは訳が違うんだよ」と言いにくる、嫌な予感がするが、そうではなくて、絶望したり、焦慮する必要はない、

じっくり腰を落ち着けて、これからでダイジョブだから、PCR検査をまず、がんがん実施して、ワクチン接種をどんどん進めて、とにかくコロナを制圧してしまえば、人間は健気というか強いもので、自分たちの社会のためにオカネをじゃんじゃん使って、経済は、あっというまに立ち直る、ということが述べたかった。

「経済を気にして中途半端なコロナ対策を取る」のがいちばんダメダメで、まず焦眉の急としてコロナを絶滅する。

第一、えええええー、とおもうひとがいるかも知れないが、日本政府がいまやっているような、のんびり対策を続けていると、突然変異ξ(クサイ)株なんちて、新しい、現行ワクチン耐性の、強烈なウイルスが出来て、トランプみたいなやつに「クサイ、クサイ、トーキョー、クサイ」と演説されかねない。

十分可能性があるので、科学者たちは、ハラハラしながら見ているのです。

しかも前回の記事で述べたように、なんでか他国から学ぶことを拒絶している日本政府は、今回も、「世界も羨む俺様には他人から学ぶことは、なんにもねえーんだ」の悪い癖を出して、論理につまって屁理屈をひねりだすのと、おなじ狭隘路の思考回路で、医療体制の支援につまって「自宅療養」という、まるでlong COVID大量生産装置のような方策を採ってしまっている。

日本の人でなくても、いいかげん、「long COVIDなら、愁訴されても、あんたの不摂生でダルいだけでしょう、自己責任だろーが、と突っぱねちゃえば判りゃしないんだから、好都合じゃないか」と考えて、わざとやっているのではないかと疑いたくなります。

コロナは、一面、「真実を映す鏡」とでもいうような趣があって、トランプ、ボリス、ボルソナーロ、モディ、名前を並べるまでもなく、無能な指導者を判りやすく浮き彫りにした。

社会におおきな淘汰を起こして、もうひとつ、人間を内省的にすることによって、「自分の人生にとって大切なことはなにか?」と自問させる力もあるようです。

日本の人は、余計なことをするのが大好きで、なかなか本題に集中できないが、夾雑を去って、真剣に焦眉の問題に取り組みだすと、びっくりするほど解決が早い、という伝統をもともと持っている。

外から見ていると、いまの日本を阻害している夾雑物は、おれにカネクレ、カネ、の利権と腐敗を極める指導層で、これが有る限り、日本が立ち直る気遣いはない。

7090年代を描いた韓国映画を観ていると、民主的手段を奪われ、マスメディアが政府の犬としての記事しか書かなくなって、みなが、あるいは食堂の椅子から起ち上がり、講義中の大学の階段教室の席から起って、職場の机を離れ、美容院の椅子から体を起こして、三々五々、通りに集まってゆく場面が終盤のクライマックスであるドラマが多くて、韓国のひとたちが、いかに自由を手にするために辛酸をなめたか、自分たちが戦って手にした自由を、いかに誇りにおもっているかが、よく判ります。

爾来、全体主義的な調和を好んで、個人主義的態度は、須く、「ナマイキ」「ワガママ」「異物」と看做す文化をアイデンティティとする日本の人におなじ自由への戦いを求めることはできないが、その代わり、社会全体の焦点が正しい方向に合えば、びっくりするような効率を発揮する。

現在の日本が社会として著しく集中力を欠いていることにはインターネットが関係があってRoberta Wohlstetterの考えが参考になると思うが、ここでは関連の説明を止めておきます。

社会が集中力を持った場合の、日本のパワフルさは、歴史を通じて語り草になっている。

それで、ね。

いまはコロナを根絶すべきときです。

四の五の言っていないで、中途半端に「それでも経済が」なんて浮ついたことを言わずに、まして、いつまでも堂々巡りの、言い訳と詭弁と闇雲な非難に満ちた「議論」に明け暮れていないで、衆愚を捨てて、衆知を結集しなければ、社会的後遺症になって、社会ごとlong COVIDになるとでも言うような、致命的な結果が待っている。

パンデミック下のオリンピックという世紀の愚行(コロナに浸蝕されずに大会が恙なく終わったからといって、それが日本人全体の幸福にとって、なんだと言うのだろう?)が終わったところで、自分たちの良いところをおもいだして、ダメだったところを思い切りよく捨てて、また世界へ復帰することを、世界中のたくさんの人が願っている。

いまは言語も文化も破産状態だが、この世界には、奇妙で独自の、他には似た文明などありはしない日本文明を愛しているひとたちが、途方もなく心配しながら、立ち直ることを祈っている。

忘れないで



Categories: 記事

14 replies

  1. ありがとう。こうやって行く先を具体的にイメージしやすい形で見せといてくれるのは助かるね。
    「日本はおおきな国だから、おまえのとこみたいに小さい国とは訳が違うんだよ」の人たちほんと馬鹿だと思うのは、「中国…」というのをどうすんねんというところですよね。ほんですぐニホンデハシュケンノセイゲンガーっていうんだけど、日本と違って民主制を達成した台湾だって、日本と似たような人口でちゃんとNZと同様にできてる。屁理屈のための屁理屈。
    どうやったら抜け出せるのかな…

  2. かつて英国が民間船を沢山集めて兵を救出したみたいに、片っ端からPCR検査機器集めて院生にでもバイト代払って検査しまくればいいのに。
    と1年半前にも言って、今になりました。
    泣けてくる

    • ダンケルクはヒットラーがマヌケで最後の瞬間に進撃を止めてしまったから実現できたが、コロナは、ヒットラーみたいなマヌケちゃうからなあー

      • あれなんであそこで止めたんだろう??と長年謎だったんだがそーかマヌケだったのか。ほんとよくわからん人物だ。

        ともかく、なら、ますますやらないとじゃんね…

      • >現在の日本が社会として著しく集中力を欠いていることにはインターネットが関係があってRoberta Wohlstetterの考えが参考になると思うが、ここでは関連の説明を止めておきます。

        今度気が向いたらこれ書いてほしいだ。
        とワガママでナマイキな異物からお願いでござる
        社会の集中力、ほしい
        あれらを片付けたい

  3. おっしゃる通り、コロナは鏡となって今まで見えなかったものを映し出しました。

    日本語社会の膿も醜さも。そういう意味では、この大惨事はよかったのだと思います(よくないけれど)。

    極限の状況である人がどういう行動をとるかということも映し出しました。一度見てしまったものはもう見なかったことにはできなくて、染みの如く残ります。消せません。鶴の恩返しは、正しいです。

    我が振りを見直す時期でもあります。

  4. 地獄の門はやっぱりこのまま開いちゃうみたいですよ。過酷な時間搾取に若年層を取られ、マスメディアに高齢層を取られちゃいました。涙。

    それでも生き延びるのですよ。浪費癖がひどい親世代を背負って、人生に波乱と過酷しかない兄姉世代の背中を押して、御伽噺を聞かせるのも憚られるくらい荒波の未来が待ってる子供世代の手を引いて。

    だってこの人たちと生きてきて幸せだったもの。これからももっと幸せになりたいのだもの。

    生き延びるのですよ。

    生き延びてあの踏ん反り返った邪悪を根こそぎ一掃してやるのですよ。

    • 京都府の陽性率は75%を越えているそうだけど、その異常というのもバカバカしいほどの異常を追求しないマスメディアを持ってしまったことが地獄をつくってしまったのね。

      富国強兵地獄完備で日本の人はどんどん悲惨な境遇に落ちてゆく。
      見ていてこわい

      >地獄の門はやっぱりこのまま開いちゃうみたいですよ。

      • 先の大戦より怖いですね。経済とウィルスには白旗が通用しませんし。

        本当に富国強兵そのままです。もういい加減終わりにしたいですわ。

  5. ありがとうございます。東京に住んでいると危機感の無い街の雰囲気に恐怖を感じます。政治家もマスコミも壊れきってしまいましたが、コロナが体制崩壊の速度を上げたのは間違いないと思います。また、オリンピックで少なからず国情が国外に知れ渡った事は国にとってマイナスですが、為政者達にも負荷が掛かると思います。Z世代の人達が主流になる頃には立ち直れるのではないでしょうか。

  6. 日本の医療崩壊している都市部にて
    お店を経営しています。
    鳴り止まない救急車、
    お客さまのご家族が続々と感染と
    とても身近なものになっています。
    こんな状況ですので、休業のタイミングを
    図っているのが本当のところですが、
    「コロナを理由にして逃げている」
    「コロナ脳」と揶揄され
    コロナを気にしているのを知られないように
    二重スパイのような気持ちで
    リスクを回避しながら営業しています。

    これを書いている時にも、直ぐそばの
    軽症者隔離施設に鳴っていた救急車
    のサイレンが止まりました。

    この状況おかしすぎる、いやコロナ脳の
    私が狂っているのではと自問自答の日々です。

    ガメさんのブログを読むと冷静になれます。
    なんとか、生き延びようと思います。
    ありがとうございます。

Leave a Reply

%d bloggers like this: