レベル4ロックダウン その2

 

レベル4ロックダウン3日目。

当初はオークランド1週間、その他に地域は3日間の「スナップロックダウン」にするつもりだったが、最悪予想(新規感染者200/日)よりも遙かにマシな21/日ではあるもののシドニー州政府や研究機関に聞き合わせて、「1週間では無理だ」と判断したのでしょう。さっき話した友人によると、もうすぐ政府からレベル4ロックダウン期間延長の発表があるようです。(注:実際には、結局、いままでは3日間としていたオークランド以外の全国の1週間のレベル4ロックダウンだけが発表になって、月曜日にロックダウン期間の再アナウンスが発表になっただけでした)

初めの6週間のレベル4ロックダウンの時には財務省が「まっかせなさい。ここんとこの好景気で、オカネはいっぱいあるけんね。ドンと来んしゃい」と述べたりして、休業補償をばら撒きすぎて、「おれ、1500万円も多くもらっちゃったけど、もらったもんは返さないもんね」とコンバーティブルの前で、でっかい微笑みを浮かべる工務店のおっちゃんが新聞記事になっていたりして、コロナ大尽が続出したが、元がビンボな国なので、だんだん息も絶え絶えになって、今朝もオークランドだけで一日$100m (70億円)の経済損失が出ていることがおおきく報道されていた。

おおよそ三分の一が毎日、コロナで失われていることになる。

オークランド人は目下、軽いパニック状態で、感染の中心地区ノースショアのスーパーマーケットの棚は、いきなりカラッポ、もともとポップアップ検査場といって、野戦テント式に急造する検査場の数がノースショアは少なかったこともあって、ドライブスルーは延々と車列が続いて、7時間待ち、という検査場もあったようです。

もっとも、念の為にいうと、ここが日本の人にはよく判っていないのではないかと思う事が、見ていて、よくあるが、災厄が起きたときに、ひとびとを一致団結させ、災厄の解決に集中力を持たせるためには、人間の自然の感情の発露から来る行動である「パニック」が起きる必要があるのは言うまでもない。

一定期間緊張して、不便や不条理に耐える社会の力は、そこから生まれてくる。

暴走パニックに至っては困るが、それでも、危機のまっただなかでパニックを起こせない、いわば人間性が死んだ社会では、なし崩しに人が死んでいくだけで、燃えさかる家のまんなかに座って、「え?火事?心頭滅却すれば火もまた涼し、ですよ。まあ、あなたも、そんなにみっともない大騒ぎをしていないので、お茶でもいっぱいいかがですか?」と暢気に述べる人の度しがたい愚かさよりはマシでしょう。

ここで、いつもとは、ちょっと趣向を変えて、オーストラリアやニュージーランドでは、感染アウトブレイクが発生したとき、どんな情報が市民に繰り返し伝えられるか、ひとつ例を挙げておきます。

下の4ページの画像は、今回のアウトブレークで繰り返し各社のニュースで伝えられているコロナ感染者の立ち寄り先リストです。陽性判明者が増えるに従って、当然、リストは長くなってゆく。

 

(ちっちゃくて見えないよおー、という人がいるかもだけど、いつもより解像度をあげてあるので、Appleなら「⌘」+「+」、Windowsでは確か「Ctrl 」+「+」で拡大できまする)

(注:コメントで日本語キーボードでは「command+shift+”+”」だと教えて貰いました。もしかしたら、Windowsにも「日本語キーボード」があって、キーのコンビネーションが違うかしら)

 

左の端から

一列目が陽性と判明した人が立ち寄った先の名前

二列目 住所

三列目 立ち寄った日

四列目 立ち寄り先に滞在した時間

「そんなの小国だから出来るんで、人口が多い日本じゃ無理ですよ」と言う、例の、日本の人に特徴的な賢しらぶりが聞こえてきそうだけれども、こういう手法が、例えば台湾に較べてたいへん遅れているニュージーランドですら、アンドロイドやiOSCovid tracerくらいは使っていて、ほんとうは、ビッグデータの手法から援用して、その上でCovid tracerを導入すれば、マスクと同様、全員がマジメにQコードを読み込ませながら移動するに決まっている国民性やニュージーランドよりは遙かに進んでいるIT技術を駆使して、これからでも遅くない、おっとり刀でシステムをつくってしまえば、自分がいつ危険な場所に足を踏み入れていたか即座にわかるはずです。

ニュージーランドの原始的なCovid tracerでも、該当するひとのスマホには

「感染可能性がある場所に足を踏み入れているから、いますぐPCR検査を受けてください」という警告くらいは出る。

案外、ひょええええ~、なことがあるもので、実際、1枚目の画像の下のほうにある

Dress Smart Onehunga には、わし家ではテディベアパンツと呼ばれている、トレッキング用品店カトマンズのぬくぬくパンツ(ズボン)を買いに、同じ816日に訪れていて、時間を見ると、陽性と判明した人が訪問した、15分前にモニとわしは立ち去っている。

感染していた人も、わしも、Covid tracerを使っているので、ごく正確に立ち寄り時刻がわかって、これが15分後ならば、PCR検査を受けなければならないところだった。

もう、後、一時間もするとジャシンダ・アーダーン首相と保健閣僚の会見があるはずで、そこでか、夕方にもういちど開かれる首相のコンファレンスか、どちらかで、レベル4ロックダウンをいつまで続けるのか、オークランド以外の、例えばクライスチャーチは、どうするのか、発表があるでしょう。

ウエリントンは、さっき、「感染者がでた」というニュース速報があったので、どうやら、オークランド並のロックダウンが行われそうです。

 

日本という国のお国柄を考えると、これからでも全く遅くないとおもう。

冷笑と野蛮な悪意の猖獗で失った、「全力で解決すべき問題に取り組む」姿勢を思い出せばいいだけですよ。

日本人が持っている特質のなかで最も貴重なものは、「ひたむきさ」であると世界中の人が知っている。

 

自分を取り戻して、ここからロケットスタートで、あっというまにコロナ禍を解決して、世界をあっと言わせる日本が再来することを、心から願っています。

 

 



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10 replies

  1. >日本人が持っている特質のなかで最も貴重なものは、「ひたむきさ」であると世界中の人が知っている。

    😭😭😭😭

    写真まで見せてくれてありがとう。
    これを、わたし(たち)は望んでいるのに…

    早く、ひたむきさ、を、取り戻してほしい。これ以上ひどいことになる前に。

  2. あとこの国の政府、わたしに20万も払うのを拒んでいるので1500万がやたら羨ましい。(素直)(みんなの好意によって生かされているので…)
    優先順位があるって素晴らしい。

  3. 万一奇跡的にトレーシングアプリが出来て、トレースしたとしても、厚労省の濃厚接種者の定義を後生大事に守る保健所がネック。NZでは濃厚接触者としてPCR検査を受けられる人々が日本の保健所から検査拒否される事態が続発。マスクをしてれば濃厚接触者でない、15分以内の接触なら該当しない、海外帰りでない等。厚労省の指示の下、検査抑制論が広く行き渡り、碌に検査できず、かつ民間機関使うと驚異的に高額。最悪数万円。絶望的な状態。感染したらゲームオーバー的な現実です。

    • 日本のお役人て、お役人自身のために存在してるみたいで、行政サービスは、やらないことになっている。

      日本の人、よく我慢しているなあ、と見ていておもいます

  4. >コロナ感染者の立ち寄り先リスト
    これは凄い。日本の対応と比べると、やるべき事をやっていることが分かります。

  5. おおおー。知りませんでした。だいさんきゅ

  6. まだ闇の中を手探りで歩いている状態ですが、仕事は続けながらも「家族や隣人のために今できることを今やる」ことが使命だと最近気付きました。

    具体的には?大袈裟なことはできないけれど、困ってる人には自分の持ち物を分け与えるとか、医療に負担をかけないように引きこもり&ワクチン接種、あとは正しい情報を共有。毎日毎日、ひたすら自分に正直に生きるだけです。

  7. こんにちは。いつも静かにブログを読ませていただくだけなのですが、先日読んだ良い記事を共有したくて初めてコメントさせていただきます。
    江川翔子さんが書かれた墨田区の取り組みを取材した記事がとても良いのです。
    墨田区は最初からブレずにひたむきに頑張っているみたいです。西塚所長さんの言葉。「ウイルスは目に見えない敵なので、徹底した検査しかない」「資源にニーズを合わせるのではなく、ニーズに資源を合わせるんです」
    良い意味での「パニック」=「危機モード」も地域できちんと共有されているようです。

    たぶん、市区町村レベルでならうまくやれる事がまだあるのでは?と思ったりしました。もう、国は放っておいて、市区町村でノウハウを共有しあうネットワークでも作って草の根的に頑張ることはできないのかなあと思ったりします。

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