続ビンボ講座 その19 円安なんだぜ

「急激な円安」は日銀総裁や日本経済にとっては危機だが、個人にとっては、そうでもない。

アメリカドルやユーロ、日本円のようなメジャーカレンシーの国に住んでいると判らないが、ニューランドドルのようなマイナーカレンシーの国に住んでいると、通貨の上下は、どうかするとサーフィンをやってるようなもので、というべきか、ちっこいボートで海のうねりを乗り越えていくようなもので、いま対円の歴史でみると、5562円くらいで安定している時期は長いが、ニュージーランド人が全員忘れもしない、ヘレン・クラーク時代の39円から、最近の92円まで、すごい幅で上下する

金も非常に買いにくい国で、日本ならば田中貴金属の刻印があるインゴットは相場で、その場で買い取るという昔からの政府の暗黙のお墨付きがあるが、

ニュージーランドでは金貨もインゴットも、いざというときに買い手が値切ったり、買い取り自体を拒否したりすることが出来る。

株式は、吹けば飛ぶような株式市場で、おまけに国外の株を買うときは、実は借り株なので、国内株はいいとして、仲介の会社が倒産した場合、どうなるの?という疑問を持つ人は買いにくい。

いまのようにインフレーションが進むと、現金が目減りするので、長期預金を組んでいる人は、お尻がむずむずしてきて、中腰になるが、オカネの持って行き場がないので、結局は不動産に行き着くが、ニュージーランドの不動産市場は、いまのように暴騰する前から悪名高いマーケットで、ドイツ銀行のアナリストなどは、失礼にも、数字を見て笑い出してしまったくらいで、

なにしろ国富が極端に住宅市場に偏っている。

30代の夫婦が1億円を超えるホームローンを組むなんてのは、普通のことで、

たしか30年以上は法律で禁止されたはずだが、20年ローンで、夫の収入は全部ホームローン行きで、妻の収入で一家は食べている、というのがごく普通になってしまっている。

そういう国で対円でいえば39円になったりして、大パニックかというと、そうでもなくて、中央銀行が黙って公定利息をあげて、たしか39円だったのは数日で数ヶ月後には62円に戻っていたとおもいます。

第一、こういう極端な上下が起きる理由自体が、ジョージ・ソロスであったり、はては賭博好きの元首マハティールが率いるマレーシア政府であったり、通貨の流通量が少ないので、狙われて、投機の材料にされる。

メジャー通貨の円では起こりえないことで、「急で大幅な円安」といっても、せいぜい1日の幅は対ドル1円くらいのもので、ニュージーランドドルのように、ある朝起きてみたら通貨の価値が半分になっていた、というようなことはありえない。

いまの円安の怖さは、それが「長期の傾向」で、市場も「こりゃダメだな」というか、円が魅力のない市場の通貨であることを信認してしまったことのほうにあって、上下を繰り返しながら250円から80円まで登り詰めた道を、逆に、歩きもどってしまうだろうと、「市場全体が気が付いてしまった」ことのほうにあります。

130円は心理的な節目だが、他のさまざまなインデックスの節目でもあって、例えば、お隣の韓国とひとりあたりGDPが、ほぼ並んでしまう。

韓国を相手に勝った負けたと一喜一憂するアホな人は別にして、このことには重要な意味があって、そのレベルまで個々の日本人が貧しくなると、

定義が曖昧なことが手伝って、暫くは看板をあげておくのを許してもらえるとおもうが、欧州の極右政治家や日本の人が大好きな言葉「先進国」ではなくなってしまう。

英語では「第三世界の国」と呼ぶが、日本語では、どうなるだろう?

「後進国」はpolitically incorrectということになっているので「発展途上国」だろうか。

しかし誰が考えても発展の途上にあるわけではないので「衰退途上国」かしら?

と呼び名にすら困るカテゴリーに入って、ニュージーランドのように、ひとりあたりのGDPが低いことに「ナマケモンが揃っている」という堂々たる、世界にあまねく認知された理由があればまだしも、日本の人のイメージは「24時間、戦えますか?」の勤勉モーレツなサラリーマンなので、働けど働けど、我が暮らし楽にならざり、バッカみたいに働いているのに、

賃金がまったくあがらずに、岩山のとりかかりがない斜面を、爪を立てながら、ずるずると滑落していくイメージしかない。

ほんとうは賃金を、もっと早くからあげておけばよかっただけの話で、主に「中国は低賃金で安い製品を売りまくって儲けている」というケーハクで不勉強な経営者たちの中国経済理解のせいで、とにかく賃金を抑えなければで、中国の都市部の賃金があがると、なんの反省もなく、ベトナムに工場を移動させる、という能なしぶりで、ほんとうの理由は、チビチビ投資をやって、事業投資は一挙に行うという定石に真っ向から逆らって投資効果がない投資の仕方をあたりまえだが、全部オカネのばらまきに終わってしまったり、市場を国内と国外に分けて「まず国内で成功してから世界へ」なんて、これもぶわっかたれとしかいいようがない無能な経営の見本のようなマーケット戦略の失敗で、人道に反するような低賃金を続けた結果、国内市場が人口減以上に、やせ細ってしまった。

長く読んできてくれているひとは、よく知っているように十年以上にわたって、「こんなことをやっていては2025年くらいには破滅的なことになる」と何度も何度も述べて、結果は、嬉しくもなんともない、書いた通りになって、おまけに予想屋みたいなことは嫌いなので時期を書いたりすることは滅多にないが、タイムスケールを示すために2008年ごろから、ずっと設定してきた「2025年」は、オチョーシモノの、大言壮語は得意だが現実処理能力はゼロという、およそ考え得る限り最悪の政権だった安倍政権のせいで、やや前倒しになって、2023年~2024年くらいになるもののようでした。

ビンボ人が、日本から出ないまま、どうやら将来もつづきそうな大きな傾向としての円安のなかで生きていくためには「円に別れを告げる」しかない。

日本に住みながら使うほうで円に別れを告げてしまうと飢え死にしてしまうので、収入源を知恵をしぼって国の外に求める、ということです。

幸い、COVIDの後押しで、例えば昨日はニュージーランドでも五指に入るソフトウエアデベロッパーが有給休暇のキャップを外してしまったことが話題になっていた。一年365日有給休暇をとっても、絶対に会社は文句を言わない。給料は払ってあげるかんね。

 

あるいは英語社会ならどこでも「地球上のどこに住んでもいい条件のポジション仲介業」が存在する。

いま、ちょっと見ると、案の定、ニュージーランドの新聞サイトにもバナー広告があります。

CFOs See a Clear Pathway to Growth Through Global Expansion

つまり、オンラインでサラリーマンがやれる時代に、もうなっているので、

特殊技能というほどの能力はなくて、普通に自宅で仕事が出来るようになっている。

ニュージーランドは、いっつもいっつも「遅れた国」で、なにごとによらず変化がのんびりだが、それでも、牧場付きの家でドイツの会社の経理をやっている人、海辺の自宅で、アメリカの会社のマーケティングをやっている人、というような「普通のサラリーマン」はいくらでもいて、しかも、どんどん増えている。

前にも書いたが、おかげで、ぼくが「自宅で仕事をしている」と誤解する人が続出して、たいへんな迷惑だが、仕事をしないから家にいるのではなくて、家にいて会社員が仕事が出来るようになったのは、良いことであるとおもいます。

無事に、例えばアメリカの証券会社でアナリストとして職を得たとすると、どうなるか。

アナ不思議、昇給はまだなのに、生活コストは、どんどん下がって、

昨日10ドルだった赤坂砂場の天もりは今日は7ドルで、日本の衰退を満喫するサラリーマン生活になってゆく。

おなじ仕事なら、日本の会社の仕事は、やらないことです。

無駄がおおく、余計なことばかりで、感情を傷つけられる機会も多い。

3年前だったかメルボルンで、生まれてからオーストラリアから出たことがない28歳の女の人が、メルセデス本社から大抜擢されて、ドイツ本社の経理担当役員になって話題になっていたが、この人はドイツ語が全然できなくても、躊躇せずにシュトゥットガルトに向かったようでした。

そのうちに、ほかの人たちと同じように、オーストラリアの、例えばデイルズフットのような美しい小さな町に家を買って、そこでメルセデスグループ全体の経理を総攬するようになるのでしょう。

ビンボ人にはビンボ人の、らくちんな生活を送る知恵がなければいけない。

その知恵が出やすい状態にするには、国の立場に立ってものごとを憂えたり、社会の側に立って日本の将来を案じたりする、ほんとうは無力を自覚している自分に対する言い訳をかねたヒマツブシにしか過ぎないことばかりやっていないで、慢性的な人材不足に苦しんでいる英語世界の求人サイトを渉猟して、日本にいたまま円安から自分の魂を防衛することに時間を使ったほうがいいかも知れません。



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