マイクロビジネスのすすめ

ロウソクの流れ買い、という商売があったのだという。

江戸時代のことです。

燭台やなんかに使ったロウソクから出る溶け出した蠟を買う商売だった。

いもり売り、というのもあります。

好きな人が出来ると、いもりの黒焼きを食べさせて、「ものにしよう」とした。

羅宇屋は有名ですね。

キセルの竹の部分を新調してもらえます。

角兵衛獅子も昔の大映や東映のサムライドラマを見ていると、よく出てくる。

子供の商売で、

前に太鼓を負って、敏捷な小さい人になると、バク宙をしたりする。

江戸時代ちびわしに最適な商売であるとおもわれる。

江戸時代の習俗を見ていて、これはすごい、とおもうのは、いま最も批判されている「利益の最大化をめざすビジネス」が貧困を生み、しかも貧困層から経済的に立ち直る機会を奪うものであることを、あらかじめ知っていたように見えることです。

トリクルダウンは、オカネを富者が天まで届けというほど、積み上げ、そこから出てくるおこぼれが下々を潤す、という、人間性というものへの洞察を欠いた、どう考えたって現実になりえないマヌケな思想で、実際うまくいかなかったが、江戸時代の日本の人びとは、オカネを積み上げるべきものとは考えていなかった。

越後屋、お主も悪よのお。

越後屋はね、邪心よりなにより、富の蓄積を目指すことによって、本質的に悪だったのだと思います。

「カネは天下のまわりもの」というが、あの言葉は、表面よりも深い意味を持っていて、カネは社会を循環するものでなければならない、という強い意味を持っていたのではないか。

日本が単調に衰退しつつある、というのは、どんな「日本バンジャイ」の人でも否定しようがないほど誰の目にも明らかになっている。

理由は、これまでの記事で散々説明して、ついでにアベノミクスが経済の根幹の足腰まで破壊して、さらに念が入ったことには教育と研究体制まで粉砕していったので、もう逆立ちしたって、けんけんしたって、チンチンしたって、お手をしたって、ロールオーバーしたってビンボになるしかなくなっている。

地獄の十王が、みなで囲んで日本の人を指さして、眦を怒らせて、「なぜ、ここまでほっておいた!なにもしないためになんでもする、汝らの罪、許しがたし!」と叫ぶ光景が目に浮かぶが、なにしろ地獄は基本的には堕ちた人間がお互いを罵りあい、憎悪をぶつけあう世界なので、案外、過半数の日本の人は、やっていることが生前と変わらなくて、快適な生活かも知れません。

なにを言ってんだか、判らないが。

江戸時代は、言うまでもなくビンボな時代で、ものが乏しく、再生再生再生、室生再生で、よく知られているようにゴミから糞尿まで買い取る業者が存在したが、それは考えて見ると、ビンボ人が収入にありつく機会が多い社会でもあったはずです。

日本は世界中に数多ある最貧国に、とうの昔に範を示している。

おお、やっぱり江戸時代すごい! じゃあ、さっそく明日からチョンマゲで刀を挿して、ナンバ歩きを致そうぞ、という気が早い人がいるかもしれないが、ちょっと待ってね、江戸時代とは異なって、世界中の国が近くなって、いわば力と抗力が直截に働く仕組みが出来てしまっているので、ひとりだけ江戸時代をやって気持よく暮らす可能性はないのです。

だって、「1ルピーが10ルピーに暮らせる」ブータンがあるじゃない、と思った、そこのきみ、このごとブータンの記事が出ないでしょう?

ネット上でいいから、様子を観に行ってくるとよい。

理由がわかるから。

口にするのに忍びないので、直截は書かないけどね。

社会の生産性が絶えず増大していかなければ、大国の支配下に入るしかない、いまの野蛮になった世界では、江戸時代は、到底やらせてもらえないが、マイクロビジネスは、日本の文化伝統があれば、最貧層を救う手がかりは出来そうです。

なにが必要かというと、なにもいらない。

考えを変えるだけで、いいのですよ。

むかし、子供のときに日本に住んでいて、ガキンチョながら、ぶっくらこいたのは、日本の人が新品好きで、なんでんかんでん新しいピッカピカの品物を書いたがることでした。

小さい声でいうと、この日本社会のいびつさには、余得もあった。

当時の在日外国人社会では「ラストイヤーモデル」の情報交換が盛んで、

特に年末年初になると、年が変わって、たった1ヶ月しか経たないのに、「ラストイヤーモデル」が、たいへんな値引きで店頭に並んでいる。

NZ製カヤックは、この手で半額で買ったので、ニュージーランドで買うより安かった。

ええ。

Specialisedのマウンテンバイクも、これで買いました。

去年のモデルだからって、なにするものぞ。

実際、このマウンテンバイクなんて、ためつすがめつ、芥川の杜子春に出てくる片眼眇の老人のような顔で微細に検討しても、どこが違うのか判らなくて、なんで、これで半額になるのか、と買う方が訝しくおもうほどだった。

必ず、どこか変えて出すことになってるそうだけど、なにしろ、こちらは、ためつすがめつ見ているだけで、見方が杜撰なので、「同じもんじゃん」で

、いきなり半額んあって、たいへん嬉しかった。

根がケチですから。

たとえ、かーちゃんの財布といえど、節約されれば、息子も嬉しい。

これがイギリスやニュージーランドだと、どうなるか。

そのころのニュージーランドは、なにしろ3年前のジャガーを平気で新車そのままの価格で売っていた。

たとえばドラムセットを買おうと思いたつでしょう?

そうすると、初めに探すのは、広大な「売ります買います」ページです。

家も、最近でこそ日本なみの、ちっこい新築が、どんどん売れるが、そのころは新築なんて酔狂な家を買う人はいません。

築年数?

さあ、判りません。

1930年代ごろは、ないっすかね、と不動産業者が宣う世界なので、

日本で言えば、全部「中古住宅」です。

いまと違ってビンボ社会だったので、楽器も、テレビも、壊れれば直す。

修理に出す人が多いので、自然、修繕で食べている人も多い。

膨大な数が走っていたクルマのミニに至っては、世界中から廃車から取りだした中古パーツが集められてきていて、文字通り山のように積み上げられて、自慢の改造ミニのドアの、窓の開閉にクルクルする取っ手が折れたときは、よりどりみどり、一個50円だったのをおぼえている。

日本でも、本や映画に、傘の修繕屋さん、包丁を研ぐ、研ぎ屋、自転車のチューブを直してくれる、訪問の自転車修理屋さん、さまざまなマイクロビジネスが出てきます。

ね?

傘は使い捨ては買わなければいいんですよ。

自分の美意識にかなったものを、ちゃんと選んで、一生つかえばいい。

洋服も、これは、いまでも、そう考えている人が多そうだが、古着に限る、で、古着屋をはしごする楽しみをおぼえればいい。

ヒキコモリのおっちゃんや、ネット喫茶族のおばちゃんが、明日の1000円を稼げる社会の通念をつくっていけばいいのではなかろーか。

だって、むかしは、そうしてたんだからさ。

コカコーラのボトルは集めて換金すると、いまでも一本5円もらえるんだっけ?

お小遣いを貯めようとおもって、町内中歩き回って、スーパーに持っていてオカネに換えてもらったら、翌日、母親に「恥ずかしいことをして」と、おもいっきり怒られたという日本人おっちゃんに会ったことがあったが、それは怒るほうがおかしい。

そんなことを言ったら、レモネードをつくって、門前で売って、工夫に工夫を重ねて、$12という巨利を博した近所のアメリカ富豪の娘おばちゃんは、どうなるのか。

父親は、娘が工夫を重ねるのをみて、毎日、販売状況を訊ねて、アドバイスをしたという。

親たるもの、そうでなくっちゃ。

ここにひとつ大事なことがあって、包丁研ぎでもいいし、ロウソクの蠟を集めた再生利用でもいいし、コンドームの再生利用あ、いや、これはダメか、どんなちいさなビジネスでも、たいてい食べていけるが、そのマイクロビジネスという新しい生計の立て方を支えるには、マイクロクレディットという新しい金融のありかたが必要です。

世界で初めてのマイクロクレディット銀行、マイクロバンキングのグラミン銀行の考案者ムハマド·ユヌスがノーベル平和賞を受賞したことを憶えている人も多いでしょう。

担保なし、保証人なしで少額を貸し付けるマイクロバンキングは経営を安定した成り立たせるために数学的知識が必要だが、ここでは省きます。

要は、申し込むだけで5万円を、その場で貸し出せる銀行が必要なんです。

それさえあれば、あとは社会の、20世紀的な、冨の増大の極大化を目的とする企業のありかたや、トリクルダウンが象徴する、富める者たちが、自分たちの冨の増大を加速するために思いついた、さまざまな屁理屈を捨てて、あるいはCDOのような、ビンボ人から冨を吸い上げる搾取装置は捨てて、いわば江戸時代的な経済思想に回帰して、マイクロバンキングとマイクロビジネスが成り立つ世界をつくってしまえばよい。

ついでに特記しておくと、マイクロファイナンスとマイクロビジネスがもたらしたのは貧困者の救済だけでなくて、やってみると、女の人の地位の向上という副次効果がおおきかった。

この点でも、いまの日本社会にはプラスになると思う。

日本の人にとっては、実は、こっちが日本の本来の経済思想なので、お手の物であるはずだし、いったんマイクロビジネスの世界を再構築してしまえば、それは数多くのアフリカ諸国や南米諸国のお手本になって、それこそ日本社会が世界の希望になってゆくはずです。

ね?

やってみませんか。

世界の人が待ち望んでいる伝統回帰だとおもうんだけど。



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