タマネギの世界について

 

検索エンジン、たとえばグーグルで検索しても絶対に引っかからない、インデクスを持たないwebサイトをDeep Webと言う。

おおむかしの、2003年だかのブリタニカを観ると、検索サイトを使えば出てくるサイト、つまりSurface Web300500倍だと書かれていて、たいへんな数だが、異なる言い方をすると、通常のブラウザを使ってネット世界を見ている人は、インターネット世界の10%ほどを見ているにしか過ぎない。

Deep Webには当然、emailアカウントやクレジットカード決済のサイトが含まれていて、現在はDeep WebSurface Web1000倍を超えているはずだ、と言っても、なんだか氷山の一角の水面下には闇の魑魅魍魎が蠢いているという訳ではなさそうです。

どんなものがDeep Webと呼ばれているサイトに含まれているかというと

・個人の医療履歴

・メンバーシップ制のサイトやアカデミックジャーナル

・データベースとイントラネット

・決済履歴とファイナンシャル・レコード

・サイトの持ち主によって検索エンジンにインデックスされることを禁止されたプライベートサイト

 

で、特に不可視だから不法サイトというわけでないのは一目瞭然とおもいます。

 

いっぽうでDeep Webのなかでもインターネット全体の5%内外を占めるアウトロー指向のサイトにはDark Webという名前が付いていて、決して検索されない世界で、麻薬取引、軽火器や兵器の売買、銀行襲撃や誘拐、はては、憂さ晴らしなのか、どのくらい実行に結び付くのかは判らないが、あの野郎、気にくわねえから、ぶっ殺してやろうぜ、とか、あんな生意気な女、バンに連れ込んでやっちまおうぜ、と剣呑なことが話しあわれているサイトもある。

地下経済には、なくてはならないネットワークで、暗号通貨を主に媒介にした巨大な地下経済の話を耳にしたことがあるひともいるでしょう。

ただただ悪の巣窟かというと、そうでもなくて、ちょっと頭を働かせれば判るが、圧政国家や国家主義国家に住む人間にとっては、自由経済や自由闘争の牙城を建設するのに適している。

取り締まりが極端に難しいからです。

Dark Webは、当然、通常のブラウザでは不可視でTorブラウザ+VPNでアクセスするのが通常だが、

.onionで終わるTor ネットワークサイトだけで65000ほどのサイトが有ると言われている。

よく日本の新聞に出てくる「闇サイト」の正体は、なんのことはない、高々、ただのパスワードでアクセス制限されたSurface Siteだが、そもそも一般の眼には不可視の広汎なweb世界が存在して、、こうした、銃乱射、ドラグ売買、武器取引、テロ襲撃など違法ビジネスや深刻な犯罪についての具体計画が話しあわれているDark Webが、現在の英語世界の主流で、共同正犯の、お互いさえ正体を知らない、こういうサイトのほうが社会にとって危険なのは言うまでもありません。

個人に近い側に立っていうと、ときどき、気付かないうちにボーイフレンドが隠し撮りにした自分の性行為ちゅうの写真や、強姦被害時の画像、申請して、すべてwebから削除されているはずの自分がAV女優だったときのビデオが、どこからともなく、突然現れて、知人に知らされて初めて知って愕然とする、ということがあるでしょう?

あれは種を明かせば「決して表の世界に持ち出さない」と誓約させてアクセス権を与える違法画像サイトがDark Webには数限りなくあるからで、約束を守る気がなくなった人間がSurface Webの世界でばらまいてしまう。

 

 

日本語Dark Webは、他言語に較べて、まだまだ、ごく少数で、数が多いのは、圧倒的に、言わずと知れた英語です。

こういうことに詳しい人は、よく知っているでしょうが、国別にいえば断然、世界の武器庫と言われる、宗教過激派が蝟集するパンジャブを抱えて、テロや武装蜂起の談合が多いインドで、人口そのものが14億を超えているのに、per capitaで他を寄せつけない第一位なので、その数の多さや、推してしるべし。

日本は、この場合は、幸いなことに、と言いたくなるが、IT革命にやや取り残された国で、

ITリタラシーに至っては、いっそイノセントな可愛さに抱きしめたくなるほど遅れているので、Dark Webがインド状態に至るのは、あと20年くらいはかかりそうです。

とは言っても注意しておくに如くはない。

太陽の光があたる世界とは、まったく異なる世界が、次第に影を拡大して、現実世界と比肩する規模を持とうとしていることを知っていて悪いことはないでしょう。

 

 

Dark Webで密談される犯罪取引は、ほとんどが麻薬です。

大麻は合法化されているか、あんまり真剣に取り締まりもしない軽い罰金で、あれをマジメに麻薬だと言い張るのはアジアの国家主義的国家の政府くらいのものなので、覚醒剤やコカインが主役になっている。

単純なeコマーススタイルのサイトもあるが、それでは販売側も購入側もリスクがおおきいので、例えば、コカインやMDMAのパーティが催される、通常は高級住宅地の住所がプロットされていて、リストになってあがって、男は$200で、女の人はタダだったりしていて、なんだか日本の「婚活サイト」や「合コンサイト」みたいで、笑いを誘われる。

麻薬ほどではないが、幼児売買や人身売買とともに眼を引くのが誘拐で、これはオカネモチのあいだでは深刻な問題になっている。

えー、誘拐なんて滅多にないじゃん、と思わず呟いた、そこのきみ、

きみは平穏な自分のビンボ生活に感謝すべきなのであって、

誘拐はね、「明るみに出ない犯罪」として有名なんです。

現代の誘拐は特に、闇から闇、警察も知らないまま、ランザム払っておしまい、というのが圧倒的に多い。

稀に表の世界に顔をだすこともあります。

最近では最も有名なのはイギリスの人気歌手Duffyのケースでしょう。

Duffyは、日本でも知っている人がおおいはずの、素晴らしい歌手で、

ぼく自身、ファンです。

大好きな曲、Warwick Avenue、などは、いまでも鼻歌で、自動的に口ずさんだりする。

アデルタイプというべきか、声量も有り、歌も上手く、基調はブルースだがポップス性もあって、ヒットチャートの常連でした。

ところが、2008年の大ヒットアルバム「Mercy」のあと、2010年に「Endlessly」をリリースした直後に、かき消えるようにいなくなってしまいます。

人気の絶頂でパブリックな場から消えてしまったことを不審に感じたウエールズのジャーナリストが捜索しても、結局、見つけられないで終わったまま、十年近い月日が経ってしまう。

ふたたび姿を現したDuffy自身がサイト「Duffy Words

https://www.duffywords.com

に記した失踪の真相は、衝撃的どころではなくて、レストランから誘拐されて、2週間のあいだ大陸欧州を連れまわされて、そのあいだじゅう、毎日毎晩レイプされていた、というものでした。

“Rape is like living murder, you are alive, but dead,”

“All I can say is it took an extremely long time, sometimes feeling never ending, to reclaim the shattered pieces of me.”

もちろん、事件が明るみにでると、連合王国では大騒ぎになったが、

あのですね、

これは、実は、氷山の、ほんの一角なんです。

オカネモチの世界のヒソヒソ話には「〇〇が誘拐されたようだ」

「身代金50億円だってさ」

ちゅうような話が、よくある。

ほんとうかもしれないし、ただの噂かもしれない。

駄法螺も混ざっていそうです。

でも小さい声でいうと、ほんとうと個人的に知っているケースもある。

アメリカのように「名前が知られれば知られるほどカネになる」世界では、

インスタグラムやフェイスブックのビジネスアイデアを観ればわかるとおり

とにかく自分の名前を、たくさんの人間に憶えてもらう。

憶えさせてしまえば、こっちのもので、キム・カルダシアンなどは、

セックスビデオ流出をきっかけに、売れに売れて、といっても歌でも演技でもないところがアメリカで、売れまくって、日本円にして延べ6000億を超える収入を誇っている。

商材は「名前」だけです。

実名でないとインターネットが収入に結び付かないのは、当たり前で、少しでも社会でのステータスを上げて社会的階梯をのぼっていきたい人は、どんどん顔と実名をだしていきます。

しかし一方では警察に言えない犯罪もうなぎ上りで、その結果、どういうことが起きているかというと、一年に4000万円というような金額のセキュリティコストがかかるのは普通のことになってしまった。

ハリー&メガンのカップルと英王室の確執の、あんまり報じられない、直截の原因であることを知ってる人も多いでしょう。

英王室が、もう警護費を払いたくない、と言い出した警察を支持したものだから、夫婦そろって憤激してしまった。

自分の周りを見渡しても、「成功した投資家」(嫌な言葉だね)に分類される人は、社交界で持ち上げられたいnouveau richeでもなければ、自分の名前を明かしたり広めたりしません。

いいことないもんね。

有名になって、どうするんですか。

だいたい、最も一般的な「手口」は複数の会社の木陰で、こっそり音もなく暮らす。

最近、守秘性が怪しくなってきたので、流行らなくなったが、トラストの塀で自分の生活と財産を、ぐるっと囲むこともあります。

快適な生活は欲しいので、家やクルマは、ワシントンポスト社主のキャサリン・グラハムと出会う前のウォーレン・バフェットじーちゃんのように、ビリオネアなのに、どこにでもありそうな、ちっこいオンボロ家に、年季が入ったフォードワゴン、というわけにはいかないが、それ以外は、「隠れて生きよ」組は、いたって地味に暮らしている。

それでね。

いまは、ほら、特にネット上で、「焼きいれちゃろうか、このクソジジイ」と思うような自覚もないトロルが跋扈しているので、もうネットは全部実名にしちゃえば、という議論があって、それはそれでいいんじゃないかなあーとおもうけれども、他方では政界最大の実力者が銃撃されて、ぶち殺される。

アニメをつくっているだけなのに、ガソリンを撒かれて焼き殺される。

ターゲットをつくって問答無用で襲撃する例が出てきた。

言葉の無力が意識されるにつれて、日本語世界も、言葉以外での解決に向かって歩み出しているように見えます。

いまのところは単独犯が多いが、日本語世界のITリタラシーがあがって、Dark Webに若い人が興味を持ち始めれば、ちょうどフラッシュモブのように、知らない者同士が共同して官庁や新聞社を襲う可能性がある。

銃の入手が格段に簡単になるのは申すまでもない。

「暴力へ向かう世界」でも書いたが、銃の調達や3Dプリンタによる銃製作のためのダウンローダブルデータさえ、Dark Web上には、そここに転がっている。

やれやれ、こういうところで世界に追いつかなくてもいいのに、とため息がでますか?

もう日本でも、いまごろはIT革命に追いすがる動きがあちこちで始まっているはずで、やがて、それは社会のパラダイムシフトになってゆくのは、他の国の歴史をみればあきらかです。

そのうえに戦後の闇雲な暴力への忌避も次第に薄れて、殺された老政治家には気の毒だが、どうやら、事件後、「なんだ、この手があったのか、なにも変えられない言葉より、よっぽど手っ取り早い」と目覚めてしまった正義の人が、たくさんいるようです。

警察のほうからすると、グループ犯の場合、仮にDark Webをフルに利用されると、現場で現行犯として取り押さえるのでもなければ、お互いを結ぶ接点もない匿名グループ犯を摘発するのは、ほぼ不可能でしょう。

救いは、犯罪を実行する人間の側で、まだ暴力にDark Webをどう利用するか、よく判っていないことで、対策にも、少し時間の余裕が有る。

他の問題もあります。

Dark Webは一面、fake製造所でもある。

Dark web世界で流通している著名人の生活ビデオにはDeepfakeのものが、たくさんあって、どこからどう観ても、何度、眼を凝らしても本物の本人としか見えない人が、猥褻な行為をしたり、誰でもが見れば憤激するような発言をしたりしている。

2016年のアメリカ大統領選でロシアがばらまいたニセの映像よりも、いまは遙かに技術が進んでいる。

「現実」をつくれるようになったのだ、と表現してもいいかも知れません。

 

ほら、テキストは、最も表現のインパクトがない、というでしょう?

インパクトがあるのは、人間の肉体、なかでも、顔で、

「テレビに顔がでれば」と懸命に願う知識人が多いのも、そのせいでしょう。

なんちったって、言葉が出来る何万年も前から顔と肉体は存在して、

人間の感覚器と脳は、相手の肉体がダンスしたりする姿に、最も感応するように出来ている。

そのお陰で、何度ワンナイトスタンドの過ちを犯したか

あ、…いや、それは置いておいて、おいてx2で、ですね。

Deepfake動画の怖さは、理性では「これはニセモノだ。嘘っこである」と判っていても、大脳は、こっそり真実と受け取ってしまう。

シャーリーズ・セロンがスクリーンで気品も高く艶然と微笑んでいるときに、大脳は、いつか観てしまったDeepfakeの大股開きの汚い猥褻の姿を想起してしまう。

テキストだけの匿名なんて流行らないんだけどね。

テキストは読む訓練を十分に積み重ねた人間を騙すのは不可能です。

読めばFakeかどうか判ってしまう。

もともとFakeなどない状態で無防備に感覚受容が形成された視覚や聴覚と異なって、人間はむかしから言葉では悪い事ばっかりやってきたので、言葉に対しては対応力がある。

誘拐されて、天井からぶら下げられて、長い棒の先についた羽毛で、脇の下をこちょこちょされたりしたら、たまらないので、名無しでいいです、とおもう。

ごくごく限られた人間のあいだでだけ知られて、それで一向に構わない、と考えているのは、もうすぐ暴力とフェイクの時代がやってくるのを、あるいは、例えば戦争や誘拐というような形では、すでにやってきているのを、知っているからです。

Dark Webの怖さは、闇世界が表の世界からまったく眼が届かないところで、別の世界として成長して暗黒宇宙とでも呼ぶべき星雲をつくっていく可能性を持っていて、現実に、その途上にあることにある。

その一方で、いわば副産物のようにして犯罪の閾値を低くする働きもあって、さきほども述べたように、昔なら大金目当てであったり、グリコ事件のように警世目的であったりして、そのうえ、いかにも大がかりで人生を賭ける決心をする必要があった重大犯罪を、Dark Webで出会っただけの人たちが、お互いの素性も名前も聞かず実行する。

あるいはインドなどでは、よくあるようにweb上で待ちあわせて、軽い「ノリ」で、目を付けておいた標的の女の人が歩いているところに、後ろから、すっとマイクロバンでつけて、車内につれこんで集団強姦したり、たいした動機もなく、ごく気軽に暴力をふるう契機にもなっている。

大量の銃の購入のようなことも表のサイトとは桁が異なる簡便さで出来るが、これまでのSurface Webの匿名サイトのように、逮捕の足がかりになることも、まず、有りえない。待ちあわせてテニスをするような気楽さで、人の一生を破壊するような暴力を実行する装置にもなりうる。

観ていると集団性犯罪については、Dark Webを利用が日本でも増えているようで、こういう犯罪の特性もあいまって、被害者も名乗りでないで、加害者もつかまらずに、野放しになっている。

数は増える一方です。

性犯罪だけに留まるかといえば、なんだか赤報隊のようなことを考えてるひとたちがいて、ぞっとしたりする。

ネット・リタラシーが高くなってくるにつれて、いま英語世界で起きはじめていることが、日本語世界にも、やってくるのは眼に見えてる。

 

もしかすると、そのときには個人の一生を滅茶苦茶にする性犯罪すら、小さな問題に見えるようになるのかも知れません。

ここまで、実際に犯罪を起こしたい人のヒントになってしまうと、なにをやっているか判らなくなってしまうので、奥歯に物が挟まったような言い方しか出来なかった自覚がありますが、分け入ってみると、すぐに判る、Dark Webの世界は、法や倫理がSufaceの世界とは、まるで異なった巨大世界で、ちょうど物理法則が異なる宇宙が、だんだん広がりだしているのに似ている。

いまのうちに「日本は安全な国ですから。日本だけはダイジョブですよ」というナイーブさを、考え直しておいたほうがよさそうな気がします。

 



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