またサイクロンが、やってくる。
まさか中心が届きはしないが、最も影響が小さいはずの高緯度国でも、地球温暖化の影響は、避けられないようです。
マリーナに行って、船の寝室のベディングを取り外して、洗濯に持ち帰ったり、風を避けてマリーナにやってきてヨットや船のうえに大量の排泄物を残していくカモメ対策にファイバーオプティックの、光るケーブルを張ったりして、あーあ、今年は、ほんとについてない、と溜息をつく。
もっとも新世代AIのおかげで、退屈することはなくて、Midjourneyのようにフレキシブルで、テキストプロンプトやパラメータで、いろんなことが出来るAIで遊んでいると、子供のときに絵を描く楽しさをおぼえたばかりで、朝から晩まで、夢中になって、目に映るものを手当たり次第に描いていたのをおもいだします。
おもわぬ効用もあって、あんまり開かなくなっていたフォトショップやイラストレーターを開く機会も増えて、ソフトの使い方もアップグレードされる。
ただテキストを書いてもワインを飲みながら、Grammarlyを初め、どんどんAI化がすすむライティングサポートappをオンにして、すぐジャーナリスト/コピーライトっぽい書き方をしたがる相手と言い合いをしながら文章を書いて遊んだりする楽しみもある。
起きてから眠くなって寝てしまうまで、須臾の間で、ではいくらなんでもおおげさだが、あっと言う間で、だんだん判ってきてみると、現代の人間の最大の切なさは、生物的に人間でしかないことで、なにしろ、世の中の楽しいことは、24時間、南も北も、西も東も豊かになったせいで、あちこちで文明が進歩して、地球をクルクルとめぐりながら、例えばLLMならLLMが勝手に進歩していく。
複数のLLMを並べて、プロンプトを引き渡して、LLMに書かせたプロンプトで絵を描いて遊んだりしている人は、実感として判るとおもうが、いま程度のtoken lengthでも、テキストにして書き出させてみると、一日に扱う語彙量は膨大で、すでに生身の人間ならばヘロヘロになる限界まで来ている。
なにしろ、こっちは、普通の、言ってみれば平均的な人間なので、汎用性が高い使い方で、
過去に出来たものの例をあげれば、表計算ソフトや、スペルチェッカーに使う側からは似ていて、便利なところでは、AIをどんどん使うというだけの限定された使いかただが、それでも、
やれることが格段に増えてしまっていて、なにかの弾みで「やる気」が出てしまうと、膨大な作業量をこなせてしまって、こんなことが習慣になったら困る、と考える。
ヨットを海の上で滑らせているときや、ボートの錨をおろして、のおんびり釣りをしたりしているときには、自然が時間の間尺を規定している。
当たり前だが、早回しで鯛を釣るわけにはいきません。
自然が、もともと規定した時間の感覚がどういうものかは、ヨットに乗ったり、農場で羊や雌牛を移動させている人は、体感として判っている。
ところが、自然との接点が少なくなって、従来の「時間」の制約を受けないAIのようなものは、
自然時間から乖離することによって世界の文明を破壊する可能性が十分にあります。
繰り返すと、なにしろ休みもしないので、これからAIが自律的になるに従って、
いったん言語の野に放たれたAIは、するすると人間の届かない段階に自己更新して達してしまう。
その結果は、人間が予想もしなかった高知能のシステムが言語自体も造語を含めた拡張をすすめて、しかも帰納的な思考になれた人間の頭とは、いわば逆方向から、語彙の終点から逆算された演繹的な思考経路で埋めつくされた、文字通り人間にとってはチンプンカンプンな思考を持つに至るでしょう。
危険じゃないかって?
危ないなんてものではなくて、核なんかよりも遙かに、本質的に危険で、
人間の文明が築いた価値を、まるごと前駆文明のように見なして、ゲームを根本から転覆してしまう危険を、高い可能性で持っている。
では、いまのうちに禁止しなければ、という人たちもいる。
いまの時点では、まあまあ、ここでいったん落ち着いて、という実業家グループがいる。
もっともこれは、主唱者のひとりイーロン・マスクが、AI開発のいったん停止を唱えながら、いっぽうでは、内緒で、1万個に及ぶGPUを買っていたことで、
要するに、勝つためならズルでもなんでもするゲーマー族のイーロン・マスクたちが、ITの世界では有名なお人好しのウォズニアックたちの絶対善意を利用して、「ビジネス戦略」として、やってみただけであったのが、あっというまにばれてしまった。
イタリア政府が慌ててChatGPTを禁止したのはバチカンを含めた宗教界からの圧力で、
背景には「人間でない存在が思考するのは神の意志に反している」というキリスト教の信念があります。
人間の好奇心の手は止まらない、なにを決めても、どんなに禁止しても、知的に「おもしろい」ことは誰にも止められない、という怖い現実は、人間が核エネルギーのチャプターで学んだ苦い教訓で、もちろん、今回も、なにを決めても、いったん本質へのpathが見えたAI研究を抑制するのは無理でしょう。
それなら人間は破滅に向かっているんじゃないの?
と素朴な疑問を持つ人がいそうだが、たいていの素朴な疑問が、そうであるように、
そのとおりで、多分、AIも建設よりは破滅の方向に通じる道を歩いて行くのでしょうが、
しかし、止める方法もないので、阿Q式に、「いや、どうせ、AIといったって、ほんとうはたいしたことがないから、おれの勝ちだ」と呟いて、ウソッコの勝利感に酔うしかない。
もともとは防御型の戦争文化を持った国が侵略にでると、話が長引く、と歴史は教えていて、
プーチンの戦争を見ていると、ほんとうにその通りで、ロシアのウクライナ侵略は、2023年内に終わりそうもない。
やや皮肉な言い方をすると、前にも述べたようにロシアという国は「戦時下経済を維持するためのものは何でもある」国で、平和時はビンボだが、戦争時のビンボも同程度で、いかにも長期戦に向いた体質の国です。
一方の西欧諸国は足並みが乱れてきて、個人主義社会は有りがたいもので、てんでばらばらに見えても、妥協点を見いだして、かろうじて結束を維持するのも得意なので、なんとかならなくはないだろうが、マクロンのようにポピュリズムとフランス外交の伝統が頭のなかで混ざり合って、相互に言い訳として用意されるような政治思考になっていく人物がキャスティングボードを握っていくと、メルケルがいない欧州は、風前の灯火です。
プーチンは、徹底的に追いつめられたコーナーで、グローブで顔を守りながらダッキングで耐え抜いて、ついに反撃の、一筋の光明を見いだしている。
力になっているのは、国民からの圧倒的な支持で、西側でおおきく取り上げられる反政府、反プーチンの運動に共鳴する人は、ロシア人という人たちの、「祖国の危機」に際しての心理的反応の常を考えれば、多分、1割にも満たない数でしかなさそうです。
もうひとつ。
プーチンが死んでも、後釜になりそうな顔ぶれを考えると、プーチンより酷いというか、現実認識のなさと、ポピュリズムへの強い傾斜を考えると、プーチンがつくりあげたロシアの「空気」を覆すことが出来そうな人は見あたりません。
救いは中国が、動機は不純だとしても中国が国家としての理性を保っていることで、
どのくらい強烈な自制心でロシアと付き合っているかは、単純に、ロシアが自国の兵器以外は、大量のイラン製や北朝鮮製の粗悪で古くさい技術の武器に頼っているのでも明らかでしょう。
中国の、種類によっては欧州製はおろか、アメリカ製をも凌ぐハイテク兵器は、多少、古い世代で、中国自体が廃棄を準備しているようなものでも、現在の戦局を180度転換するには十分で、喉から手が出るほど欲しいに違いないので、舞台裏では、強く武器の供給を求めていると想像されているが、頑として良い返事をせずに、ロシアの食料や資源を、西側に断られた分だけ、一手に買い受けて、ロシアを財政的に助けるにとどめている。
戦争が終結に向かう、ほとんどゆいいつの可能性は、ウクライナが戦争に完勝して、嫌な言い方をすれば、もっともっと桁違いの数のロシア人の若者が戦場で殺されて、息子を死なせた母親たちが怒りで起ち上がることで、ロシア人であるプーチンは、それこそが自分の地位を最も危うくするのを、よく判っているはずです。
ウクライナがロシアに勝利したあとは、ウクライナ政府の悪い癖が出て、自分自身が、いまのプーチンと変わらない顔を見せることが予想されるが、それは無事にウクライナが勝利したあとに心配すべきことで、これはこれで大問題になるに決まってるが、ロシアが勝利したときに、続いてほぼ100%の可能性で起こる欧州大戦が引き起こす世界の危機に較べれば、「まだマシ」で、政治は、常に、少しでもマシなほうに這ってでも、国民に大量の血をながさせてでも、向かう以外に方策の取りようがない。
日本固有の問題、取り分け、なんどか述べた、綱渡りの綱が切れかけている食料調達と財政の危機とは別に、バックグラウンドには、世界全体が直面している、世界戦争と、予想されたよりも遙かに早いスピードで進む地球温暖化、あるいは最近では「温暖化だけでなくて、地球って、活動期で暴れ始めてるんじゃないの?」とヒソヒソされている活動量が高まって地震や噴火が頻繁に起こるようになった(ように見える)自然災害がある。
自然からの脅威への対策が煮え切らずに後回しになるのは、なにしろ地球は、ちょうどAIと反対というか、活動する時間の幅が、人間の知覚に較べると圧倒的に長いので、「一瞬」が、だいたい人間の時間の間尺でいう40年で、人間の感覚からすると「いつ起こるか判らない」ので、未決と既決の箱どころか、ブラックスワンという特別カテゴリの箱を用意して、そこに放り込んでおくしかない。
いざ起きてしまえば、たとえばイエローストーンやCampei Flegrei
が爆発すれば、ははは、ロシアとウクライナの戦争どころやおまへんがな、の、壊滅的な影響を世界にもたらすが、人類には、いまでも「起こらないことにしておく箱」という秘密の箱があって、そこに眠る破局的問題は、ないことにすることになっている。
人間が75年をかけて、ちょっとずつ、ちょっとずつ積み上げて、やっと作り上げたとおもっていた平和は、エリツィンが一夜に酒を飲みすぎて急性アルコール中毒を引き起こして、ヒクヒクしだして死の直前に至ったときに、居合わせた政府人のなかで、ただひとりアル中でなかった、温和しい、最も御しやすい小男として、いわば最も安全な牌として選ばれたプーチンの腕のひと払いで、ガラガラと崩れ落ちてしまった。
もっかの状況は、ブラックボックスが少ない情報社会の特徴で、至極ゆっくりとすすんではいるが、着実に世界大戦に向かっていて、つまりはロシアが破滅するか世界が破滅するか、という状況です。
大国中国が局外に立っているのも、あと数年でしょう。
アメリカ人の、なんという人だったか忘れたが、リライアブルな意見を述べる人が、いまの世界を「Gゼロ世界」と呼んで、それがいまの指導力があって、世界平和を指向する国がない現状を表現するのに、ぴったりなので、よく口の端に昇るようになったが、むかし競技場が熱狂するとルールがどこかに行ってしまう時代のフットボールで、相手チームの生首を切り取って、ボールに見立ててゴールに蹴り込んだりしていたのとおなじことで、
強いということがルール、の世界に、いまの世界は遷移しつつある。
日本語でもネトウヨと呼ばれるひとたちなどにとっては、理想世界だが、
現実に対する想像力をもたない人間の悲しさで、現実に世界が「ルールや倫理なんてお花畑」の世界になれば、最も悲惨な目にある国の、日本は筆頭です。
嫌なので、その場合日本がどうなるかは考えたことがない。
サイクロンが去ったら、暖房がある船で、冬の海に出ようとおもっています。
陸の上には、もう人間の時間は流れなくなっていくのかも知れない。
せめて、自分の頭の中身だけでも、海からやり直すしかなさそうです
サイクロン、早く、どっかに行ってくれないかしら。
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